隣のベッドのお婆さん
胸腔ドレーンを入れて3日ほどすると、痛みもいくらか落ち着いた。
まだベッドに背中を付けると痛いけど、痛くない体の角度をモゾモゾ探りながら、なんとか眠れるようになったし、ゆっくり歩いて病院の売店なんかにも行けるようになった。
しかし、エアリークは続いていた。
つまり、肺の穴が塞がらず、空気が漏れ続けているのだ。
このままいくと、手術だと説明された。
まさか本当に手術になるとは。
毎日職場の同僚が交代で面会に来てくれた。
仕事も早く戻らないと、と気持ちは焦る。
さっさと切って早く治さねば、と覚悟を決める。
週末、昭和一桁生まれのお婆さんが隣のベッドに入院してきた。
彼女も私と同じ日に肺の手術をするらしい。
こんな高齢者でも手術するんだから、私も頑張らないと。と勝手に隣のお婆さんに仲間意識を持ち勇気をもらっていた。
あのお隣さんも、元気に退院しただろうか。